SSブログ
蒲焼店が考える“これから” ブログトップ
前の20件 | 次の20件

「蒲焼点が考える“これから”」60 〜2016年1月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


大嶋 茂樹店主
(うなぎ大嶋/浜松市南区)

『鰻は日本人のソウルフード、廃れることはない』

輝かしい新年の幕開けとなった。業界は引き続き、シラスウナギ漁の動向に注目しているが、状況は厳しいままだ。ところで専門店としてこれまでの売れ行き、今後をどのように見通しているか。

「現在の売れ行きは、昨年の夏に比べれば当然、落ちていますが、昨年並みになっています。うなぎは日本古来の食べ物であり日本人のソウルフード、ですから廃れる事は無いと思います。今後、ウナギの価格は上がっていくと思いますが、ハレの日のごちそう、あるいは頑張ったときの自分へのご褒美となっていくのではないでしょうか」

冒頭のように、シラス漁は近年、不漁続きで、活鰻相場も高値に張り付いたままだ。多くの専門店ではメニュー価格の値上げを余儀なくされ、ウナギマーケットも縮小の一途。そうしたなか、お客を一人でも多く取り戻すために専門店として何か、働きかけているか。

「大切なのは、適正価格でお客様に提供する事です。そのためには丁寧にかつ、クオリティーを上げて、お客様に満足していただくことだと常に思いながら、仕事をしております」

ちなみに扱っているウナギは、産地などこだわりがあるのだろうか。

「うなぎに対する、養殖業者さんの温かい思いが込められているうなぎを仕入れたいです。そして、その思いを我々、専門店がお客様に届けていきたいと考えています。私の場合は、いろいろ探した結果、現在の養鰻業者さんに出会いましたので、それが私どものこだわりです」

ところで近年は、続くシラスウナギ不漁から、ウナギ資源保護管理が日本中心に急ピッチで進んでいる。今年9月には、ワシントン条約締約国会議が開催されるなかでその動向が気になるところだが、貴店はどのような考えを持っているか。

「このワシントン条約の件ばかりは、成り行きにまかせなければならないですが、とにかく素材を無駄なく扱い、丁寧に丁寧に仕事をしていくしかないと思います。資源保護の観点からも安くして消費を増やすことを行ってはいけないと思います」

またウナギ文化継承に欠かせない、ウナギ職人不足も大きな問題。これに関してはどのような見解を持っているか。

「子供が小さいときから、うなぎの美味しさ、うなぎの神秘的な生態、資源の貴重さに興味を持ってもらう事が大事だと思います。そしてうな丼、うな重になるまでの工程なども知っていただくことも、ウナギ職人不足解消への一つの大事な事だと考えています」

資源問題、職人不足、そしてウナギ離れによるマーケット縮小など、問題は山積みだ。

「今年9月に行われるワシントン条約締約国会議において、”掲載“を回避出来れば良い、という話ではなく、うなぎは天然資源であるということを再認識してほしいと思います」

[データ]
「うなぎ大嶋」
〒432-8052 浜松市南区東若林町645
電話:053-447-3656

大嶋さん のコピー.JPG

















*「蒲焼点が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中

nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」59 〜2015年12月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


小堀和広店長
(うなぎや源与門/福井県若狭町)

「鰻文化継承のため鰻の専門学校が開校できたら」

今年も残すところ、あと数日となった。ウナギ業界にとって完全なるオフシーズンのなか、これまでメニュー価格の値上げを余儀なくされた専門店として、これまでの売れ行き、また今後をどのように見通しているか。

「これまでの値上げに伴い、持ち帰り商品の売れ行きは落ちております。ただ、その一方で冬のオフシーズンの傾向としては、北陸新幹線開通もあり、北陸へカニを召し上がりに来られるお客様が昼食によく、利用していただいていると思います」

近年、続いているシラスウナギ不漁により、相場はかつてないほどの水準に高騰している。前述のように、多くの専門店ではメニュー価格の値上げを余儀なくされた。このため、ウナギマーケットの縮小にも表れているように、ウナギ離れも近年、叫ばれている。そうしたなか、お客を一人でも多く取り戻すために専門店としては何か、働きかけていることはあるのだろうか。

「出来る限りお客様に、値上げに対しての説明をしております。品質を落とさず、かつ“割き立て“”焼きたて“をモットーとし、また当店では鴨料理も人気ですので鰻以外にも力を入れていこうと考えております」

ちなみに扱っているウナギに関しては、産地などこだわりはあるのだろうか。

「炭火焼をすることで柔らかく、脂に甘みが出てくる鰻。国産以外、とくに中国産を嫌うお客様が多く、これからも必ず、国産鰻を使用していきたいと考えています」

ところで近年は、シラスウナギ不漁を受けて、ウナギ資源保護管理が日本を軸に急ピッチで進んでいる。来年9月、ワシントン条約締約国会議が開催されるなか、その動向が気になるが貴店はどのような考えを持っているか。

「特に対策の無いことが、頭の痛いところです。問屋さん等と情報を交わしつつ、今後の対策を考えないといけないと思います。ただ仮にウナギの流通量が”18%“になった場合、専門店だけではやっていけなくなると思います」

前出のように、ウナギ資源保護管理の問題も大切だが、専門店としてはウナギ資源と同様に、ウナギ文化継承に欠かせない、ウナギ職人の”不足問題“も大きな問題の一つだが、これに関してはどのような見解を持っているか。

「日本の和食文化の中でも鰻は大事な文化ですので、今後も残していくためにも、鰻の専門学校等が全国の鰻専門店の協力のもと、開校出来たらと思います」

資源問題、職人不足、そし手ウナギ離れによるマーケットの縮小など、問題は山積している。特に近年は、ウナギ業界を取り巻く環境が大きく様変わりしているなか、蒲焼専門店として今後、どうあるべきか、あるいは何をしていくべきだろうか。

「本物の鰻の蒲焼をお客様に味わっていただくことが一番大事だと思います。”量より質“を大事にして今後も頑張っていきたいと考えております」

[データ]
「うなぎや源与門」
〒919-1303 福井県三方上中郡若狭町三方52-6
電話:0770-45-0035

小堀和広店長/源与門 ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」58 〜2015年12月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


嘉川博紀専務
(うなぎ・割烹 北御門/長崎県諫早市)

『鰻価が不透明、その他の材料を見直している』

今年も残りあとわずかとなった。ウナギ業界にとってオフシーズンにあるが、その一方で忘年会シーズン真っただ中。これまでの売れ行き、そして現状、今後をどのように見通しているか。

「前年同様の売れ行きです。年末年始の忘・新年会で忙しくなると思われますが、鰻の価格が不透明であり、その他の材料の見直しをしています」
 
近年、続いているシラスウナギ不漁により、相場は高騰。多くの専門店ではメニュー価格の値上げを余儀なくされた。このため、ウナギ離れも叫ばれているなか、そうしたお客を一人でも多く取り戻すために何か、働きかけているか。

「販売促進としてホームページの補強やネット対策、通販商品の充実に力を入れています。福岡中洲の吉塚うなぎ屋さんの呼びかけに賛同し、12月17、18日に鰻子供祭りを実施致します。専門店で鰻料理を口にする機会も少なくなってしまったお子様に、ご家族で楽しい時間を過ごしていただきたく、特別価格でご奉仕させていただきます」
 
一方、扱っているウナギに対する見解はどうだろうか。

「現在、弊社で扱っているのは国産のみです。品質にバラつきなく、安全な育てられ方をしている、と証明出来るならば、中国、台湾の鰻も扱いたいと思います。しかし、長崎・諫早のお客様の国産鰻に対するニーズが高いのでご理解いただくのは時間がかかると思われます」

ところで近年は、ウナギ資源保護管理が日本をリーダーシップに東アジア4カ国・地域で進んでいるなか、来年9月、ワシントン条約締約国会議が開催される。その行方が気になるところだが貴店はどのような見解を持っているか。

「想定外の状況を予想し、楽観的予測から悲観的なものまで、いくつかのシナリオを考えています。悲観的なシナリオからはついつい目を背けがちになりますが、ある程度の準備は必要だと思います」

前出のように、ウナギ資源保護管理の話題など資源の話ばかりが大きくクローズアップされている昨今。しかし、その一方でウナギ資源と同様に、ウナギ文化継承に欠かせない、ウナギ職人の”不足問題“も避けては通れない大きな問題の一つとなっている。

「和食の料理人さんに鰻料理を勉強、修行させていただいています。鰻専門の職人と和食の調理人に不公平感が出ないように気配りしております」

資源問題、職人不足、加えて近年のウナギマーケットの縮小など、問題は山積している状況だ。一昔前に比べてウナギ業界を取り巻く環境が大きく様変わりしているなか、蒲焼専門店として今後、どうあるべきなのか、あるいは何をしていくべきだろうか。

「地元の昔ながらのお客様を大切にしながらも、枠にとらわれず、料理、食品の知識を増やし、健康を維持し、出来れば90歳まで現役で鰻を焼いていければと思います」

[データ]
「うなぎ・割烹 北御門」
〒854-0011 長崎県諫早市八天町4-3
電話:0957-22-0167

嘉川博紀専務.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」57 〜2015年12月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


阿部 晋一代表取締役
(花菱/東京都渋谷区)

『うなぎ講習会を開催 お店に研修に来ていただく生徒も』

今年も残すところ1ヶ月を切った。うなぎ業界にとって、オフシーズン真只中だが、これまでの売れ行きとともに現状、そして今後をどのように見通しているか。

「おかげさまで10月は例年になく、良い売り上げとなりましたが、11月に入り、前年同様に落ち着いています。鰻料理の新メニューなど2〜3点は考えておりますが、なかなか厳しいと思っております」

近年、シラスウナギの不漁から、仕入れ価格も全体的に上昇している。これによって大半の蒲焼専門店ではメニュー価格の値上げを余儀なくされ、客離れも避けられなかった。そうしたお客を一人でも多く取り戻すためにどのようなことが必要だろうか。

「共水さんと取引をさせていただき、ブランド鰻のメニューを提供しています。また販売促進の面では、インターネットの利用(ホームページ)とクーポン券及び食事券などを出しております。来店のお客様に、時間はかかりますが、丁寧な仕事をすることでより良いお料理を出していきたいと思っております」

一方、蒲焼専門店にとってどのようなウナギが好まれ、“良い”ウナギとされるのだろうか。

「一年を通して出来る限り同じ品質の鰻を出荷していただきたいと思っております。実際には大変難しいことであるとは思いますが、国産にこだわっています。お客様が依然として、産地にこだわっておられますので。いろいろと試食した時は中国産でも十分、美味しいと思っておりますが、養殖の過程で薬の使用や水の良し悪しは不安になります」

ところで、来年9月に開催されるワシントン条約締約国会議の行方が気になるところだが、どのような意見を持っているのか。

「この問題に関しては、小売店ではどうすることも出来ないのではないかと思います」

また、昨今はシラスウナギ不漁を背景に“シラスウナギ池入れ20%削減”、あるいは“養鰻業は許可制に移行”などウナギ資源保護管理が急ピッチで進むなど、資源の話ばかりが大きくクローズアップされている。しかし、その一方で資源と同様にウナギ文化継承に欠かせない、ウナギ職人の”不足問題“も避けては通れない大きな問題の一つとなっている。この問題についてはどのように考えているか。

「4代目の長男が戻り(修行を5年ほど)、現在は当店の職人さんに教えていただいております。本人が食物科を高校で卒業し、年に一度のペースですが本人と職人さんたちの協力もいただきながら、うなぎ講習会などを学校で開催し、生徒さんに実際にお店に研修に来ていただいて、うなぎ料理も理解していただけるようにしております」

資源問題、そして職人不足、加えて近年のウナギマーケット自体の縮小など、問題は山積している。ウナギ業界を取り巻く環境が大きく様変わりしているなか、蒲焼専門店として今後、どうあるべきか、何をしていくべきだろうか。

「気になっているウナギ完全養殖の商業化まではまだまだ時間がかかると思いますので、お客様ともども大事な鰻をありがたく召し上がっていただけるよう願っています」

[データ]
花菱
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-16-7
電話:03-3461-2622

阿部晋一社長ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」56 〜2015年11月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


木下 塁代表取締役
(駿河屋/千葉県成田市)

『うなぎ屋の生きる道全てを持って日本文化を体現』

今年も残り1ヶ月余り。オフシーズンとなる新鰻年度(9月から)に入り、これまでの売れ行き、また今後をどのように見通しているか。

「成田山参道の一年を通して一番の閑散期が10月ですので、相応の落ち込みは覚悟しておりました。しかし天候に大きな崩れなど無く、そこそこの商売をさせていただきました。紅葉シーズンと年末の参詣(11月と12月)に期待したいです」

近年、シラス不漁を背景に相場は高騰、メニュー価格の値上げから客離れも不可避だった。そうしたお客を取り戻すためにどのようなことが必要か。

「仕入れ価格の変動にも対応せざるを得ないことから、メニュー価格の値上げによる、ある程度の客離れは仕方のないことと考えております。鰻、各材料、什器、食器等の吟味、サービスの向上による他店の差別化が今は重要と考えております」

また、蒲焼専門店にとってどのようなウナギが“良い”ウナギと呼べるのだろうか。

「適度な脂の乗り、繊維の細かさ、芳香を持った鰻が“良い鰻”と考えております。一概に産地では括れませんが、カビ臭や薬品臭のする鰻はとくに嫌厭いたしております」

ところで、来年9月に開催されるワシントン条約締約国会議の行方が気になるところだが、どのような見解を持っているのか。

「いたって不透明な先行き故に、最悪商売替えも視野に入れなくてはと思っております。しかし、現状は静観するときと考えております。万が一の場合の代替品も検討しておりますが、順調な移行が出来るかどうかは大きな不安を持っております」

ところで、昨今はシラスウナギ不漁を背景とする、ウナギ資源問題ばかりがクローズアップされている。しかし、ウナギ文化継承に欠かせないウナギ職人の”不足“もかなり根深い問題だ。この問題についてはどのように考えているか。

「そもそも洋食人気のなか、ただでさえ見通しの悪いこの業界に入っていただくことは、若者にとって魅力がないのは当然のことだと思います。したがって、労働条件、環境の改善、向上を積極的に行っていくことが必須と考えます」

ウナギ資源問題をはじめ、ウナギ職人不足、そしてウナギマーケット自体の縮小など、業界が抱える問題は以前にも増して多い。ウナギ業界を取り巻く環境が大きく様変わりしているなか、専門店として今後、どうあるべきか、何をしていくべきだろうか。

「伝統食、文化食としての色をより一層、強くしていくことが重要と考えます。店構え、店内、器、従業員の制服、おもてなし等、全てをもって日本の文化を体現していくことが、これからのうなぎ屋の生きる道と考えております」

[データ]
「駿河屋」
〒286-0027 千葉県成田市仲町359
電話:0476-22-1133

! のコピー.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(2)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」55 〜2015年11月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


鈴木裕介オーナー
(うなぎ創作 鰻樹/埼玉県吉川市)

『お客様が召し上がって美味しい鰻が良い鰻なのでは?』

今年も残すところ1ヶ月半となった。新鰻年度(9月から)以降は業界にとってオフシーズンということもあり、例年のように売れ行きは低迷している。とくに近年は、シラスウナギの不漁による相場高騰、それによるメニュー価格の値上げが響いた事で客離れが起き、ウナギマーケットもこれまで以上に縮小している。“ウナギ“から離れてしまったお客を一人でも多く取り戻すために、貴店ではどのようなことを考えているか。

「当店では、『うなぎ創作』の看板を掲げております。鰻をひとつの食材として考え、鰻の持ち味を存分に発揮出来る調理を施し、他店では食べる事の出来ない料理を目指しております」

また、蒲焼専門店にとってどのようなウナギが“良い”ウナギと呼べるのだろうか?一方でお客が好むウナギとは何だろうか、またそれらのウナギはイコールとなるのか、それとも異なるのだろうか。また、ニホンウナギでも国産、台湾産、中国産とあるなかで、貴店はそうした産地に関するこだわりはあるのだろうか。

「国産、中国産、台湾産などのこだわりはありません。私たち、鰻屋はお客様あっての存在ですから、良い鰻というのはプロが食べて美味しい鰻ではなく、お客様が召し上がって美味しい鰻が良い鰻なのではないのでしょうか?」

ところで、昨今はシラス不漁続きからウナギ資源問題がクローズアップされ、親ウナギの漁獲規制、シラスウナギ漁の日数縮減のほか、今年からは養鰻業が“許可制“へと移行、管理体制はますます厳しくなっている。そうした資源面だけが大きく取り上げられているなかで、実はウナギ文化継承のために大切なウナギ職人界も近年、”不足問題“が根深い問題の一つとして取り上げられている。最近の調理士会の話ではピーク時に比べ、ウナギ職人の在籍数は約半分までに減少したという話も聞かれる。この問題についてはどのように考えているか。

「私のような若い世代の人間がさらに若い世代に“鰻職人は面白い!“と思わせる必要があるのではないでしょうか?そのためには今までの常識を覆すことをしなければいけません!」

ウナギ資源管理をはじめ、ウナギ職人不足、ウナギマーケットの縮小など多くの問題が業界には山積している。一頃に比べると、ウナギ業界を取り巻く環境は間違いなく、大きく様変わりしてしまっている。2000年、国内のうなぎ流通量は約16万トン(活鰻換算)だったのが2014年には約3万トン台に減少、マーケットも実に1/5までに狭まっているのが現状だ。かなりの変化と言わざるを得ない。

「取り巻く環境が大きく変わったのであれば、鰻屋さんの方も大きく変わるべきなのではないでしょうか?今までは、江戸時代から続く日本の伝統を守るだけでしたが、これからはその伝統を守るだけではなく、変化、そして進化させていかなくてはならない時が来ているのではないかと思います」

[データ]
「うなぎ創作 鰻樹 —manju—」
〒342-0045 埼玉県吉川市木売2-9-7 2階
電話:048-940-5458

鈴木裕介オーナー ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」54 〜2015年11月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


竹内 一二代表取締役
(鰻や 竹うち/堺市堺区)

『今後はより、調理技術・接客術・お店の        雰囲気向上に努めるべき』

今年も早いもので残り2ヶ月を切った。夏場は全般的に好調な動きを見せたものの、大半のお店ではお盆明け、あるいは9月に入ってから、売れ行きは目に見えて落ちている話が目立った。

一方で、流通面に目を向ければそれらを裏付けるように、荷動きは低迷したままで、荷余り感さえ散見されている。問屋筋も「産地における池揚げ量は多少なりとも減少しているものの、それでも吸い込み率も悪くなっている」と厳しい現状を話す。専門店における、この時期の売れ行き、そして今後に向けてどう見通しているのだろうか。

「売れ行きに関しては、例年と同様の動きに終始しています。またオフシーズンを迎える中で、私どもではうなぎ鍋など冬季に適したメニューをインターネットなどでおすすめして対応してく予定です」

シラスウナギシーズンは今月1日からの台湾を皮切りにスタートした。周知のように、近年は、シラスウナギ不漁を背景に相場は高騰し、メニュー価格の値上げを余儀なくされたお店も少なくない。お客が入りやすいように“メニュー価格”を下げるにも、「シラスが採れなければ相場がまた値上がるだろうし、メニュー価格をそう簡単には下げられない」(蒲焼店)といったお店も目立つ。それだけに是が非でもシラス大豊漁を願いたいところだろう。厳しい販売状況を強いられる専門店にとっての現在の考え方はどうなのか?

「お客様の趣向性やお値段の設定など“聞く耳”を持つ感じで出来るかぎり、納得していただけるよう、説明も含めて合わせていければと考えています。また、私ども“鰻料理専門店”ではありますが、家族やグループなどでうなぎを食べられないお客様に対するメニューも検討していきたいと考えています」

また専門店にとって、好まれる鰻とはどのようなものだろうか。

「基本的には、ニホンウナギ(アンギラ・ジャポニカ種)で、国産で、鮮度の良い元気な活鰻であれば“OK”だと思います。しかしながら、その時によって国産ではなく、台湾産、あるいは中国産でも上質なものであれば、使用可能であると考えています」

一方、業界が注目するワシントン条約の行方。専門店としての意見はどうだろうか。

「私ども蒲焼店としては当然、ニホンウナギがワシントン条約に掲載されないことを望んでいいますが、適正価格で必要分の活鰻が確保出来るよう、取引先の卸問屋にしっかりお願いするしかないのでは、と考えています」

また、近年続いている“職人不足”問題については何らかの対策はあるのだろうか。

「雇用問題に関しては現状、間に合っていますので、人材が必要となったときに検討しようと考えています。ただ、ルートや手法等の確認チェックは間に合っている、間に合っていないに係らず、行っておく必要はあると考えています」

最後に “鰻専門店”として今後に向けてどうあるべきだろうか。

「鰻の食文化の表現や、適正価格で美味しいお料理を提供出来るように、調理技術や接客術、お店の雰囲気などの向上に精進していくべきだろうと考えています」

[データ]
「鰻や 竹うち」
〒590-0951 大阪府堺市堺区市之町西3-2-11
電話:072-232-2652

竹内一二代表取締役 のコピー.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」53 〜2015年10月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


11代目店主、奥田 幸彦氏
(阿み彦/大阪市中央区)

「心をこめて焼き上げることがお客様の満足に繋がる」

新鰻年度(15年9月)〜に入り、早2ヶ月が経とうとしている。各地の専門店に話を聞けば、早いところでは“8月のお盆明けから・・・”、遅いところでも“9月に入ってから売れ行きは目に見えて落ちている”といった話が聞かれる。とくに昨年9月は厳しい残暑から、“熱中症”の話もあったほどだが、今年はそうしたことも皆無に等しく、天候不順に泣かされた感じだ。実際、売れ行きは9月以降、どのように変化しているのだろうか。

「実際、かなり悪くなっています。また今後に関してもあまり大きな期待は出来ないと思います」と厳しい現状を話す。

近年は、シラスウナギ不漁を背景に相場は高騰し、メニュー価格の値上げを余儀なくされたお店も多い。全国的に、鰻屋さんにおける客離れも不可避と見られるなかで商売、あるいは料理に対するこだわりなどはどうだろうか。

「当たり前の事ですが、美味しい鰻をお客様に満足していただくことに尽きます。飽くなき、追求心あるのみですね」

ところで、蒲焼専門店さんにとってはどのようなウナギが好まれるのか、また養鰻業者さんにはどのようなウナギを養殖してほしいのだろうか?国産、中国産、台湾産といった産地に対するこだわりはどうだろうか?

「関西の地焼きでは、やはり柔らかい鰻が一番です。また産地に別段、こだわりはありませんが、お客様の方がこだわりを持っている感じですね」

昨今、業界が注目するワシントン条約に対してはどのような意見を持っているのか?

「率直にそのようにならないことを願うしかないですね。完全養殖が将来、採算の合うように商業化されることを祈りばかりです。当店では当然、冷凍品は使わないので対策はなしです」

近年の状況からも“ウナギ資源”ばかりがクローズアップされているのは致し方ないが、鰻専門店さんにおいては、減少する職人問題も不可避だろう。対応策についてなど意見はどうだろうか。

「職人が心をこめて焼き上げること、それがお客様の満足に繋がります。その喜びを感じられる職人をいかに育てるかが、これから大事ではないかと思います」

最後に、昨今のウナギ業界を取り巻く環境は大きく様変わりしている。そのなかで“鰻専門店”として今後、どうあるべきか。

「自然環境に対する反省と、自戒を込めて、より一層、鰻に対して真摯に向かい合いたいと思います」
 
[データ]
「阿み彦」
〒541-0041 大阪市中央区北浜2-1-5 平和不動産北浜ビルB1F
電話:06-6201-5315

奥田幸彦11代目 ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」52 〜2015年9月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


日高 正盛取締役社長
(日本橋宮川/東京都中央区)

「子どもの時、専門店の美味しい鰻を          いかに召し上がっていただくか」

新鰻年度(15年9月〜)に入り、売れ行きはどのように変化しているのだろうか。

「今年はお盆休みが終わったと同時に夏が終わった感じがしますね。またこの9月に入り、雨も多かったです。残暑もほぼなく、お盆明け以降は良くないまま、今日に至るという感じです」と振り返る一方、先行きについては「この地域は、商業施設の『COREDO』があるなど、土日になると多くの人出で賑わっていますし、“うなぎをちょっと食べていこうか”といった50〜60代ぐらいの方中心に来ていただいています。もちろん、20〜40代の方もいらっしゃいます。オフシーズンではありますが、今後も週末の土曜日、とくに昼間に力を入れて頑張りたいですね」

近年はシラス不漁を背景に相場は高騰し、一般消費者間では“ウナギは高い”というイメージが刷り込まれ、客足が落ちている話が目立っている。

「今、知人にウナギに対するイメージを聞けば、ほとんどが“高い”というものばかりです。昔は、“食べたい”“美味しい”そんな声が多かったのですが・・・。去年、一昨年と“絶滅危惧種登録”と合わせて “ウナギは高くなる”ニュースが取り上げられたことで、一般消費者にそのイメージが刷り込まれてしまった感じです。現状、商売的にやりにくいですが、弊店としては引き続いてお客様に喜ばれる美味しい鰻料理を提供し続けることしかないです。調理、サービス面など当たり前のことを当たり前に地道に行うことです」

扱うウナギに関してどのようなウナギが良いのか、また産地にこだわりはあるのだろうか。

「我々専門店にとっては当然ですが、常に “泥臭くない“ものを要望したいですね。また、しっかりしたサイズ選別もお願いしたいです。お客様は重箱のふたを開けたときの大きさに敏感ですからね。少しでも異なるとやはり、気になるようです。うちでは5P中心ですが、シラスが採れていない年はそのサイズのぶれが目立ちます。また国産の他にも台湾産も美味しいと思います」

来年9月にワシントン条約締約国会議が行われる等、ウナギ資源に対する注目度は今後、益々、高まっていくが?

「ワシントン条約の掲載に対し、“ウナギ資源”保護につながるだけに決して悲観的な考えはありません。しかし一方では将来的にどれほど値上がるのか、という懸念もあります。またウナギ資源の減少についてはもっと“地球規模”で分析するべきなのかな、と思います。ウナギに限らず、他の魚でも減少している話は多いですし」

また職人不足問題に関してはどうだろうか?

「正直、うちは職人が一人ですので、先行き不安はありますし、結局は調理士紹介所頼みです。職人不足解消のためにはやはり、専門店としては美味しいものを提供し続ける事で消費者のこころをまずは押さえることしかないです。ウナギに興味を持っていただかなければ、職人さんを志すことさえかないません。とくに子どもの時に専門店の美味しい鰻をいかに召し上がっていただくかでその後が変わっていくと思います。ただ、ウナギ業界が昨今、抱えている“ウナギ資源問題”の件がどう影響するのかが未知数です」

最後に鰻専門店としてはどう、今後を乗り切るべきなのか。

「取り巻く環境は大きく変化していますが、私どもは今も昔も“美味しいものは好まれる”と考えていますし、だからこそ、これからもその美味しい鰻料理を提供し続けていきます。それが我々の出来ることだと思います」

[データ]
「日本橋宮川」
〒103-0022 東京都中央区日本橋室町1-9-12 共同ビルB1F
電話:03−3241−0736

日高正盛社長ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」51 〜2015年9月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


河原 亮店長
(うなぎ処 山道/福岡市中央区)

「中高、専門学校等とタイアップ、職場体験などの    機会を増やし職人を増やす」

猛暑となった夏の土用丑商戦が今や懐かしいぐらい、スーパー・量販店では秋の味覚の代表であるサンマが陳列され、さすがに季節の移り変わりを感じさせている。また今夏は、ニホンウナギが絶滅危惧種としてIUCNのレッドリストに掲載されるといったインパクトのあるニュースはなく、昨年に比べればメディアの露出も少なかったように見えた。

「今年の7月20日にオープンしたばかりなので、昨年との比較は出来ません。しかし、土用の丑の日はオープン前にチラシを多く配布したことにより、予想以上の来客がありました」

近年、シラスウナギ不漁を背景に相場は高騰、各地の専門店ではメニュー価格の値上げから客離れも不可避だった。そうした離れたお客を一人でも多く取り戻すため、あるいは販促のために何らかの対策は?また、貴店における商売、料理などに対するこだわりは?

「店内でのお食事の他に、今後出前の実施も検討中です。立地条件的に出前の需要が多いエリアで、特にお歳を召された方で、お店まで来店することが困難な方への出前も視野に入れて、販路を拡げたいと考えています。またお店のこだわりとしては、本社が宮崎県にあるのでお店で使用するメインとなる食材は宮崎県産にこだわるようにしています。料理へのこだわりとしては、とにかく鰻は焼き置きをせずに、注文を受けて、生から焼くことを心がけています」

一方、来年9月にワシントン条約締約国会議が行われ、鰻貿易に規制がかかるのか否か注目が集まっている。掲載回避のために、ウナギ資源管理対策も施され、すでに東アジア四カ国・地域において昨年9月、シラスウナギ池入れ量を前年の20%マイナスにすることで合意に至っている。これらについての意見はどうだろうか。

「今後、国内での鰻の流通量が減少すると、産地偽装などの問題が予想されます。専門店ごとに産地表示を徹底し、お客様からの不信感を払拭していくことが大切だと思います」

また、専門店にとってもうひとつ大きな問題と言えるのが、職人不足だろう。“加工品で代用”といった嫌なウワサも聞かれる昨今で、少子高齢化を背景に“ウナギ職人の未来”にも不安を覚えるところだ。はたして、これらウナギ職人問題についてどのような考えを持っているか。

「鰻料理に興味のある人材を早急に発掘し、専門店等での若手育成が大切だと思います。専門性の高い鰻調理がどのようなものかを先ず知ってもらう為に、中高、専門学校等とタイアップして積極的に職場体験などの機会を増やしていくことが大切だと思います。当店では職人見習いとしての求人募集をかけ、現在3名の見習いに仕事を教えています」

近年は前述したように、シラス不漁による相場高騰、ワシントン条約締約国会議を来年に控えた資源、また供給問題、そしてウナギ職人不足問題など、業界を取り巻く環境は大きく様変わりしている。当然のように、専門店を取り巻く環境も一昔前に比べても激変している。そうしたなかで、“専門店”としては今後、どうあるべきか。

「鰻専門店は他の飲食業に比べても、平均して客単価が高いと思います。しかしながら、“高い”からこそ、職人としての仕事の中身も含め、お客様に満足していただいて、初めてそれだけの値段が取れる商売だと思います。これからも変わらず、鰻専門店でしか味わえない味をご提供できるよう日々努力していきます」

[データ]
「うなぎ処 山道」
〒810-0022 福岡市中央区薬院4-3-10 アバンティ薬院1F
電話:092-753-6102

河原亮店長 のコピー.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」50 〜2015年9月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


三宅 輝店主
(うなぎ日本料理 優月/岐阜県多治見市)

「薄利多売にならず、丁寧な仕事を続けていく」

猛暑となった土用丑商戦を終え、早1ヶ月余り。今年は良くも悪くも話題性のあるニュースが目立たなかったが、昨年と比べて商戦はどうだったか、またオフシーズンの売れ行きについてどのように、見通しているだろうか。

「最初の丑の日は、金曜日ということやメディアの取り上げもあり、金・土・日曜日の3日間、御蔭さまで100キロ程売れました。普段は1日10キロ程ですので、平賀源内に感謝しておりました。二の丑の日は平常より少し多い程度でしたので、メディアの取り上げも減り、二の丑の日の認知度も少なく、メディアの取り上げで変わるのは確かな感じです。オフシーズンは、多治見の場合、県外のお客さんの取り込みにかかってくるので、いかに宣伝をするかだと思います」

近年、シラスウナギ不漁を背景に原料相場が高騰、メニュー価格の値上げを余儀なくされ、客離れも不可避だった。離れたお客を一人でも多く取り戻すため、あるいは販促のために何らかの対策、また貴店における商売、料理などに対するこだわりは?

「離れたお客様を取り戻すのは難しいです。うなぎは価格も高く、月1回来ていただければ常連様という感覚を店側が持つ事が賢明だと思います。販促のためにDM等を頒布しており、たまにメールなどでも声かけをしています。料理についてのこだわりは、とにかくごまかさないことが大切で、うなぎの場合一匹をけずったり、組み合わせたりせず、丁寧に一尾一尾、神経を集中して焼いています」

来年9月に行われるワシントン条約締約国会議。ニホンウナギがワシントン条約に掲載されると貿易規制で“ウナギの流通量”は今の“18%”に抑えられる試算もある。これらについての意見、また早めの対策などを検討しているか?

「対策など大それた考えはありませんが、18%に抑えられないように政府に働きかけると共に、早めの生態分析を願います」

資源は無論、ウナギ職人不足も昨今、懸念されている。その育成、確保についてはどう考えているか?

「人材不足はうなぎ業界に限った事ではないので、仕方ない事と思います。まずは自分の子供や友人の子供、そういった所からのスタートだと思います。日本料理は重要文化財な訳ですので、国の助成金制度を見直してもらうなど、店側の人件費負担軽減やこれから職人を目指す子供達の福利厚生の充実、サービス業全体の環境改善だと思います」

その他、業界を取り巻く環境が大きく様変わりしているなか、“うなぎ店”として今後、どうあるべきか、何をしていくべきか?

「今後うなぎ店として思う事は、薄利多売にならず、丁寧な仕事を続けていく事に限ると思います。大手チェーン店がうなぎを販売しておりますので、価格競争には負けます。うなぎ屋に行く意味はやはり丁寧な仕事にあると思いますし、それが出来る職人で有りたいと強く思います」

[データ]
「うなぎ日本料理 優月」
〒507-0037 岐阜県多治見市音羽町4-32-1 
TEL:0572-44-8324

三宅輝店主15.9.5!.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」49 〜2015年8月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


鈴木 規純代表取締役
(うなぎ串焼き くりから/東京都新宿区)

『鰻が売れる夏にもっと打って出る』

好天にも恵まれ、総じて好商いとなった丑商戦。昨年は、 “ニホンウナギの絶滅危惧種登録”というセンセーショナルなニュースから、“ウナギはもう食べられなくなる”との不安を煽り、特需があった。今年はそれに匹敵するニュースは少なかったものの、それでも“ウナギ味のナマズ”あるいは“うなぎコーラ”また“うなぎパン”など少なからず、“ウナギ”の印象度は高まった。

「今年の土用丑の日は金曜日で、週末の土日に絡んでいたので、この3日間はおかげさまでとても盛り上がりました。とくに昨年から計画していた“夏に勝負をかける“ということで二階を増設したり、夏限定でバイトの子にも入ってもらったり、また知人がテレビに出演し”くりから”をPRしていただいたこともあり、売り上げも昨対25%増となりました。今も暑いので多くのお客様に来ていただいていますが、オフシーズンが近づくにつれ、高止まりした価格が重くのしかかり、やはり売れ行きの足を引っ張ると見ています」 

近年は、シラスウナギ不漁から相場は高騰し、メニュー価格を余儀なくされた。これによって、客離れを起こした事は想像に難くない。一人でも多くのお客を取り戻すための対策を実施しているか?

「私どもでは以前、一度だけ平均30〜50円ほど、値上げをさせていただきました。当時はメディアも“高くなる、高くなる”としきりに報道していた影響もあり、値上げしやすい環境でもあり、影響はほとんどありませんでした。また、高いウナギの身だけにこだわらず、頭のしゃれこうべ、肝のアヒージョ、肝のバーニャカウダ、お酒の種類を豊富に揃え、鰻屋とは一線を画すスタイルで酒場客をターゲットにするようにしていますし、『吉田類の酒場放浪記』の出演を待つのみです(笑)」

一方、来年9月に開催されるワシントン条約締約国会議。この件に対する意見、あるいは対策はあるのだろうか。

「一言で言えば、掲載されるか否か、天に祈るだけしかないです。問屋さんともワシントン条約の件で話をするのですが、仮に掲載されれば相場はさらに上がっていくだろうし、厳しい状況になることは否めないと。ただ、ウナギはそう簡単になくなるわけじゃありませんし、あとはそうしたなかでいかに知恵を絞るかですね」

またウナギ資源問題の一方で、ウナギ職人不足も大きな懸念材料の一つ。これに対しては?

「オープンキッチン化、お客さんの目の前でウナギを捌き、蒸し、焼く工程を見せる、そうした職人の腕がエンターテイメントとなり、お客さんとの距離を近づけます。本来ならば、裏にいる職人を前に出してタレント化することで、ウナギではなく、人が人を呼ぶ店作りにすることで、人材の育成、そして確保を考えています」 

最後に自身のお店の今後についてはどうだろうか?

「お客様は来るときは来て、来ないときは来ません。つまり、来るときの時期である、“夏”にもっと打って出る事が良いのではないかと思います。例えば、夏のロックフェスタ、サマーソニック、フジロックフェスティバル、などで、夏の王道である“ウナギ”のお店を出し、積極的に売っていきたいですね。逆に“ウナギ”がないのがおかしいと思います。いずれは生ビール、屋外、花火、音楽と、ウナギを組み合わせた夏フェスを土用丑の日に実施出来ればいいかなと思います。ちなみに今年は8月15、16日に行われるサマソニに偵察がてら行ってみたいと思います」

[データ]
「うなぎ串焼き くりから」
〒161-0032
東京都新宿区中落合1-13-5
TEL:03-6908-1607

代表取締役 鈴木規純氏 ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」48 〜2015年7月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


緒方大専務取締役
(田舎庵/北九州市小倉北区)

『短期〜中期的な資源管理の対策が必要』

業界の書き入れ時である、土用丑の日が間近に迫った。昨年は、一般消費者にとってとくにインパクトの強かった“ニホンウナギの絶滅危惧種登録”があったが、今年は良くも悪くも話題性のあるニュースは少ない。そうしたなかで需要期、オフシーズンも含めて、売れ行きをどのように見通しているか。

「昨年から売上は伸びていますので、今年も微増と予測しています。インバウンド需要は全体の1~3%程度です」

近年、シラスウナギ不漁を背景に、相場は高騰。これにより、メニュー価格の値上げを余儀なくされ、一時期は客離れも目立った話も聞かれた。また一人でも多く離れたお客を取り戻すために販促など何らかの対策を実施しているか?

「良い鰻を仕入れる努力、良い調味料を探す努力、鰻の伝統食としての基本の味である天然鰻の味を少量でもお客様に味わって頂き、鰻の味の基本を知ってもらおうとする努力を日々続けています。また提供する鰻の量などを調整することで値上げを最小限に抑えているため、特に客離れなど起こっていません」

一方、来年9月に予定されているワシントン条約締約国会議。ニホンウナギが仮に掲載された場合、貿易規制で“ウナギの流通量”はいまの“18%”に抑えられる試算もある。これらについての意見、また早めの対策等を検討しているか?

「CITESは『附属書 I 』『附属書 II 』のどちらに掲載されるかが重要です。『附属書 II 』の場合は貿易規制は許可制に移行するだけで流通量は大きくは変わらないと思います。18%という試算も、今諸団体が行動を起こされているのも、基本的に『附属書Ⅰ』に対する試算、回避に向けての行動と理解しています。

現在までの諸対策を見ていると『附属書 II 』は不可避に近いと思いますので、各省庁・諸団体が台湾・中国との許可制移行手続きのスキーム作りを速やかに調整頂くことを期待しています。その上で改めて今公表されているよりも更に一段と厳しく踏み込んだ、予防的で短期~中期的な資源管理の対策が、国の施策として必要だと感じます。日本養殖新聞にも業界紙として、この騒動に対する整理された特集並びに貴紙の見解を教えて頂きたいです」

最後に、ウナギ資源問題の一方で、ウナギ職人不足も大きな懸念材料の一つとなっている。これに対してどのような意見があるのだろうか。

「日本の伝統工芸、伝統食品の分野も職人の担い手が減少し、絶滅危惧種です。例として日本酒業界の杜氏があります。これから先を考える上で、『獺祭』の蔵元、旭酒造 桜井氏の脱杜氏化の取り組みが、この業界にとっても示唆に富むものだと思います」 

[データ]
「田舎庵」
〒802-0004 北九州市小倉北区鍛冶町1-1-13
TEL:093-551-0851

田舎庵・専務 緒方大ブログ用.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」47 〜2015年7月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


西村 卓代表取締役社長
(八ツ目や にしむら/東京都豊島区)

『貴重なウナギをいかに有効活用するか』

土用丑の日まで残り3週間弱。外食では一足先にうなぎメニューを導入するほか、コンビニ各社も相次いで土用丑向けウナギ弁当の予約を開始するなどムードも高まっている。昨年は、IUCN(国際自然保護連合)により、ニホンウナギが絶滅危惧種としてレッドリストに登録され、“ウナギが食べられなくなる”と懸念した消費者が蒲焼専門店に駆け込む場面が多かった。はたして今年はどうだろうか。

「今年は今のところ、パッとしていません。ただ、ここ豊島区では6月12、13の両日に、地域活性化のために“プレミアム付豊島区内共通商品券”(有効期限:半年間)が発売され、12日は1400万円、13日は600万円分がともに30分以内で完売しました。先日の父の日は、そうしたプレミアム商品券の恩恵もあり、相当、盛り上がりましたよ」

ところで、専門店業界にとって避けては通れぬ問題であるウナギ職人不足。

「弊店では、ウナギを捌けるのが30代1人、40代1人、そして50代は自身含め3人の計5人です。“10年経っても小僧”という話もありますが、うちでは時間が空けば、賄いで食べるから“と、よく裁かせたり、串を打たせたり、とにかく練習をさせていました。また人を入れる時は一人ではなく、二人いっぺんに採用するんです。すると互いにライバル意識が芽生えるのか、いい刺激になるようです。とある調理師学校では、1000人卒業する中で10〜20%が和食へ、そのなかでうなぎに行く人はほぼ0、という話を聞きましたが、とにかく少しずつでも仕事を覚え、うなぎを料理する楽しさを地道に実感してもらうしかないですよね。息子も継いでくれる話もしていますし、頼もしいです」

近年、シラス不漁による相場高から、多くのうなぎ蒲焼専門店では値上げを余儀なくされ、ウナギ離れも起きた。離れたお客を少しでも取り戻すための働きかけは?

「地道に出前用のチラシを配ったり、来店回数により、滋養強壮により八ツ目ホルゲンをプレゼントしたりしましたね。また新たなメニューの開発も考えています。3〜4年前に考案したうなぎ(佃煮/200円)のおにぎりも冬限定ですがテレビにも取り上げられ、好評です。ほかにも、ウナギの頭を素焼きにして圧力釜で圧縮し焼き上げたカブト(150円)、また骨せんべいも出しています。離れたお客様を呼び戻すのは無論、貴重なウナギをいかに有効活用するかも大切ですからね。今は。お年寄り・子ども向けに今『うなぎのハーフ丼』を提供しようか、思案中です」

最後に,ウナギ資源管理が業界上げて叫ばれている。将来、仮にニホンウナギがワシントン条約に掲載された場合、活鰻流通は今の18%にまでに抑えられるという試算もある。

「ワシントン条約に掲載され、ウナギの供給不安に陥った場合、うちではアナゴの扱いを増やすほか、せっかく備長炭を使っているので他の魚種の扱いも視野に入れています。一方で、今後に向けて全国各地のウナギ屋さんが一店でも多く、全蒲連(全国鰻蒲焼商組合連合会)に加入していただき、そのなかでお互いに情報を交換、新たなアイデア、対策などを生み出せればと思います。将来は、うなぎサミットなるものも出来れば良いなと思っています」

[データ]
「八ツ目や にしむら」
〒170-0002
東京都豊島区巣鴨3-34-2
TEL:03-3910-1071

西村卓 のコピー.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」46 〜2015年6月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


小林昌司代表取締役
(浅草うな鐡/東京都台東区)

『職人高齢化が叫ばれるも、              従業員の平均年齢は何と31才』

土用丑の日を1ヶ月後に控え、値上がり始めた活鰻相場。

「ひと頃のような相場水準は個人的にないと思っています。上げ過ぎれば結局、我々、鰻業界へ返ってきますし、希望的観測も含めて常識の範囲内での値上げにとどまるのではないでしょうか。私どもではこの2〜3年で2回ほど“値上げ”し、当時は客足も遠のきました。レジ打ちしていると、思った以上の会計でその都度、お客様には申し訳ない気持ちで頭を下げていました」

ウナギ資源問題、そして頭の痛い職人不足問題。“少子高齢化”が顕著な中、同店で働く職人さんは、10代が1人、20代が3人、30代が6人、40代が1人、50代が1人、総従業員30名(うち職人は14人)で平均年齢は実に31歳と若い。

「当然のように職人を一気に増やすことなんて出来ません。ですから、常にハローワーク、あるいは自社ホームページで求人を出しています。これまで採用したすべての職人はやめていません。待遇改善は無論ですが、一職人として“認めて”あげることも大切だと思います。

また、私は面接のときに常に話すのが、“鰻屋は本当に大変だが、努力次第で自身の成長が実感出来る”ということ。そしてうなぎという職種は“厳しいけど魅力ある”ものだとアピールしています。いかに職人さんをとどめるか、店側の努力も必要だと思います。また新東調理士会主催の高等学校でのうなぎ調理実習という働きかけも良いと思います。われわれのお店から数名、実習に派遣したわけですが、“教える”ことはうちの職人自身の力も試されるわけで勉強にもなり、ありがたく思っています」

資源、相場問題など専門店を取り巻く状況は一変しているが、お客さんへ向けたPR策は?

「やはり、ネットを上手に活用しなくてはいけないと思う。私どもが店を構える浅草は国内外からの観光客が多く、手にはタブレット、スマホなども手にしています。今、すでに考えているのが社員が持ち回りでフェイスブックで常にPR、発信していく事です。あとは良い接客、良い商品を提供すること、そして理想はお客様一人一人に目を向け、細かやサービスを実行すること。さらに“今日より明日、明日より明後日”と地道に努力していく事です」

最後に、将来に向けて何か、懸念材料はあるのだろうか。

「昨今、資源問題が叫ばれる中、進むうなぎ完全養殖商業化への研究。仮に成功したら、大手企業も参入してくるでしょうし、我々のような個店がこれまでのやり方で良いのかが不安でならない。おそらく、かつてない流通革命が起きるだろうし、そのなかで様々なシミュレーションを今から、考えなくてはならないでしょう。資源問題は解決するにしても、商売面ではそうした流通革命を考えると手放しでは喜べないですね」

[データ]
「浅草うな鐡」
〒111-0032 東京都台東区花川戸1-2-11
TEL:03-5830-3302

代表取締役 小林昌司.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」45 〜2015年6月15日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


伊藤小澄代表取締役
(川豊/千葉県成田市)

『活鰻不足はこれからも続くと覚悟、          だからこそ鰻の扱いを大切に』

“ニホンウナギが絶滅危惧種に登録[IUCN]”(昨年6月)されているが、夏に向けての影響は特にないのだろうか。

「反応、売れ行きに大きな変化はございません。今年も夏に向けて、『成田うなぎ祭り』が開催されますので、街全体で更なる活性化に向けて多くのお客様にお越しいただいて、活性化に向け動いていくものと思われます」

活鰻相場は国産中心に段階的に値上がっている。資源面は無論、相場面の懸念に対してはどのような考えを持っているか。

「活鰻不足に関しては、これからも続く事と覚悟をし、鰻の扱いを今まで以上に丁寧に行い、蒲焼専門店ならではの個性を出し、少しでも美味しい鰻を提供出来るように努力していきたいです」

ウナギ資源問題とともに大きな課題の一つがウナギ職人不足問題。職人さんに対してどのような事を行っているのだろうか。

「職人さんに対して、会社として出来うる事。社会保険、厚生年金、労災の加入はもちろん、定期的に全社員、パートに対して健康診断を行っております。また、40年以上、毎年、社員旅行を行い、職人同士、スタッフ同士の親睦を深め、福利厚生の充実に努めております。一方、経営面では、鰻の味の追求はもちろんですが、接客面でもサービス接遇の会議を社内で開く等、お客様に喜んでいただくための努力をして参りたいと考えております」

ウナギ業界はこの数年間で大きく様変わりしている。とくに資源問題に関しては、昨今のウナギ養殖業がこの6月1日より、許可制となり、資源管理はより厳しくなっている状況にある。それほど近年では世界に誇る日本を代表するウナギ文化の先行きが危ぶまれている。

「日本の伝統的食文化を守るべく、また後世にもつないでいける様、味・サービスの追求に努めていきたいです。また同業者様との交流を大切にし、成田という地域の特性をより理解をした上で、様々な地域の皆様と交流させていただきたいと思います」

ちなみに、成田山新勝寺の参道では今後、活性化のための何らかの動きが出ているようだが。

「川豊本店の所在する成田山新勝寺のお膝元の参道の活性化を図るべく、『成田門前のれん会』を昨年暮れに“米屋・下田パン茶屋・藤倉商店・川豊”の4軒でまずは立ち上げました。また『うなりくん』(うなぎと飛行機が合体した成田市のゆるキャラ)も頑張って『うなぎのぼりの街 成田』をPRしております。その名に恥じぬよう、お客様はもちろん、職人、従業員、取引先様を幸せにし、少しでも社会貢献出来るように頑張って参りたいです」

[データ]
「川豊」
〒286-0027 千葉県成田市仲町386
TEL:0476-22-2711

DSC02386 のコピー.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」44 〜2015年6月5日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


伊藤正樹店長
(うな正/浜松市北区)

『鰻屋としての個性を磨いていくことも大切』

ニホンウナギが昨年6月にIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに絶滅危惧種として登録、もうすぐ一年が経つ。

「昨年はとくに『食べられなくなる』といった心理からか、お客様の動きも強かったです。今年もそれなりの動きはあると思いますが、ゴールデンウイーク以降は静かになっています。6月からはまったく予想が出来ません。ただ、日々の仕事、取り組みが夏に反映されるのではないかと、意識しながら、精進しているつもりです」

活鰻相場は夏の需要期に向けて強含んでいる。先々週に続いて、先月31日、今月1日と愛知三河一色、鹿児島大隅地区で値上がっている。

「ここ数年、うなぎが高嶺の花となり、お客様も相場に過敏になっていると思います。今年の夏はエルニーニョ現象が発生していることもあり、夏に影響が出そうで心配な上、うなぎに対しての過剰なメディア報道も気になるところです。真面目に取り組む養鰻業、蒲焼店がクローズアップされればいいなと思います」

ウナギ資源問題が近年、大きく取りざたされる中、避けては通れない相場高騰問題。その一方、資源と同様に頭が痛いのがウナギ職人不足問題だろう。

「鰻業界のみならず、どの業界も人材不足の気がします。魅力溢れるお店作り、居心地の良い職場、言い出したらキリがありませんが『このお店で働きたい!』と言われるようなお店を模索中です」

周知のように鰻業界は近年、一変している。続くシラスウナギ不漁による相場高は無論、環境省、IUCN(国際自然保護連合)が大きな資源問題にまで発展している。来年10月には、ワシントン条約締約国会議が行われる予定で、その動向が注目されている。水産庁中心に、東アジア四ヶ国・地域ではそうした事態を回避するため、資源管理・保護の強化を進めているところだ。そうした状況下、鰻屋はこれからをどう乗り切っていくべきか。昨今は、Facebook、LINEなどあらゆるSNSもあり、全国各地の同じ鰻屋同士で意見を交換するのも容易となっている。

「様々な問題が山積していますが、お客様とのコミュニケーションを大切にしながら、コツコツ前進していきたいと私は思います。今まで以上に鰻屋としての個性を磨いていく事も大切な事かと・・・.これからの若い世代に必要とされるお店になっていけるよう。また蒲焼店さん同士の交流によって、自分の店を見つめ直す事が出来ますし、良いところは取り入れたり、相談したり、鰻屋という専門職が益々、レベルアップしていくことを望みます。地元、浜松でもうなぎ料理専門店振興会があり、天然親ウナギの放流事業があったり、蒲焼店同士が力を合わせていくことがとても大切だと思います」

[データ]
「うな正」
〒433-8105 浜松市北区三方原町467-4
電話:053-437-3451

うな正/伊藤正樹店長 のコピー.jpg

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」43 〜2015年5月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


瀬下 知也代表取締役
(うなぎ甘露煮せしも/栃木県栃木市)

『きちんとした職人のいる店が注目を浴び、安定した仕事ができることを夢見ます』

ニホンウナギが昨年6月にIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに絶滅危惧種として登録されてから、もうすぐ1年。最近は、シーズンを2ヶ月後に控え、そうした“絶滅危惧種”に関連するニュースは少ない。

「人は心理的に、“絶滅危惧種”と言われると、余計に(ウナギを)食べたくなるみたいです。ただ、“(値段が)高い、高い“と報道されると、都会はまだしも田舎では足が重くなるようです」

春先から、活鰻相場が強含んでいる。この17、18日にも愛知三河一色、鹿児島大隅地区で値上がったばかりだ。資源自体の問題も当然あるものの、それに付随して”不足感“による相場高騰問題も頭が痛い。大産地の鹿児島大隅地区もふたを開ければ思ったほど在鰻が無いとして、夏に向けての不安要素がまた一つ増えた感じだ。

「ウナギの稚魚をあれだけ採っていれば、近いうちに無くなっても仕方が無いと思います。国が厳しく、(ウナギ資源を)管理するしか方法は無いのではないかと思ってしまいます」

資源問題、そしてそれに付随して起きる相場高騰問題。その一方で避けて通れない、ウナギ職人不足問題もある。鰻屋包囲網はますます加速している。

「フレンチ、イタリアン、和食と食材を選べる職人さんと異なり、ウナギがメインで“きつい”“暑い”“儲けが少ない”となれば、職人が減少していくのも仕方が無ことだと思います。加工場の方々には怒られると思いますが、鰻屋認定制度を作り、鰻は鰻職人のいる店でしか販売出来ない、となれば鰻の乱獲も無いでしょうし、鰻職人のプレミアム価値が上がり、人気も出るかもしれませんね」

鰻業界はかつてないほど、大きく様変わりしている。期待された今年のシラスウナギ漁は昨年から一転、再び不漁に見舞われている。来年秋には、ワシントン条約締約国会議を控えるなか、資源問題が再び、大きくクローズアップされる可能性も一段と高まっている。鰻屋はこの窮状をいかに乗り切るか。昨今は、Facebook、LINEなどあらゆるSNSもあり、全国各地の同じ鰻屋同士で意見を交換するのも簡単で、アイデアを生み出すためのひとつのツールとして活用する鰻屋は多い。

「ソーシャルでの鰻屋の交流はとても良いと思います。弱小の鰻職人達がまとまりを作り、きちんとした職人のいる店が注目を浴び、安定した仕事が出来ることをいつも夢見ます」

前出のように鰻職人を今後、増やしていくためにはどうしたらよいだろうか?

「ノルウェーのサケやサバ漁のように、研究者、国、漁師が意見を合わせ、しっかりとしたウナギ資源管理の元、弱小零細の鰻屋が安定する事が、今後の職人の希望者の数に関係していくと思っています」

[データ]
「うなぎ甘露煮せしも」
〒329-0316
栃木県栃木市藤岡町石川315-2
TEL:0282-67-2551

代表取締役 瀬下知也 のコピー.png

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」42 〜2015年5月10日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


依田(よだ)邦彦代表取締役
(うなぎの竜由/山梨県甲府市)

『学校等で子どもにウナギを触れさせる活動は      将来的に見て効果あり』

ニホンウナギが昨年6月にIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに絶滅危惧種として登録されてから、もうすぐ一年が経とうとしている。当時は一般メディアでもこのニュースを取り上げ、“もう、ウナギは食べられなくなる!?”といった煽るような報道も散見され、専門店にとってもその影響は予想以上に大きかった。今年のシラスウナギ漁は再び、不漁に終わり、来年にはワシントン条約締約国会議等も控え、ウナギに対するメディアの報道も過熱しそうで、気になる部分も出て来ている。

「昨年は年間通して、客数の減少がありました。理由はやはり、数年続いた活鰻価格高騰に加え、IUCNによるニホンウナギの絶滅危惧種登録など、消費者の不安を煽る状況、そして過剰なまでの報道にあったと思います。今年に入ってからは、うなぎ業界全体の努力、工夫が功を奏してか、お客様が戻って来たように思います。売り上げもわずかながら、昨対プラスに転じ、これからの夏本番シーズンに向けて期待が持てそうです」

昨今、ウナギの資源面に限らず、夏に向けて相場面の動向が懸念されはじめている。昨年は、シラス好漁だったはずだが、蓋を開ければ、“活鰻不足”を露呈、加工メーカーの引き合いも相まって、需給バランスを大きく崩してしまっている。そうしたなかで3月半ば、久方ぶりに相場が上方修正されてから、すでにこれまで計3回も行われており、今なお、相場先高感は強いままだ。

「シラスウナギの不漁については原因がはっきりし、何らかの対策が講じられるような調査研究が待ち遠しいです。それ以外のブローカーなどによる人的価格操作については、うなぎ業界全体で声を上げて無くしていきたいです」

ウナギ資源、そして相場動向が懸念される一方で、ウナギ職人不足問題も避けては通れない、大きな課題の一つとなっている。取り巻く環境は以前にも増して厳しくなるなか、ウナギのPRについてはどう考えていくべきだろうか。

「うなぎは、寿司や一般料理店の食材に比べ、子どもが接する機会が少ないのが職人(見習い)の不足に繋がっているのだと思います。長野県の岡谷や埼玉県の浦和の皆さんのように、学校等で子どもにウナギを触れさせる活動は将来的に見て効果があると思います。うなぎ店経営については小規模で効率よく、客席稼働率を上げるのが良いと思い、時間的ロスを減らす工夫をしています」

前述したように、鰻業界を取り巻く環境はかつてないほど、大きく様変わりしている。昨年から一転、今年は再び、シラス不漁に見舞われ、来年にはワシントン条約締約国会議を控える等、これからのメディアの報道も気になるところだ。そうしたなかで蒲焼専門店としてはどのようにこれからを進み、歩んでいくべきだろうか。

「前述したように、相場を操作する仕組みが存在する中、蒲焼屋一店ではどうにもならない事も、全国のうなぎ業界で連携し、声を挙げれば変えていけると思います。そのためにも今やSNSの存在は不可欠だと思います。」

〔データ〕
「うなぎの竜由(たつよし)」
〒400-0047 山梨県甲府市徳行2-1-3
電話:055-222-0141

依田邦彦社長/竜由 ブログ用②.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース

「蒲焼店が考える“これから”」41 〜2015年4月25日号掲載〜 [蒲焼店が考える“これから”]


三代目 森 正道氏
(根ぎし 宮川/東京都台東区)

『うなぎのことをもっと理解してもらうために…』

ニホンウナギが昨年6月にIUCN(国際自然保護連合)のレッドリストに絶滅危惧種として登録、一般メディアでもこれを取り上げ、専門店にとっても反響は大きかった。

「変化はありました。とくにメディアが稚魚の高騰、不漁という事を取り上げ、うなぎ離れを顕著に感じました。夏に向けて今までとは違う不安がありますが、特にリピーター率アップを心掛けています」

昨今、資源面に限らず、相場面の動向も懸念されはじめている。

「おそらく、これからさらに高騰すると予想されます。皆様、いろいろと努力、工夫されていることは把握していますが、決して質を落とす事なく、提供していきます」

資源、相場動向、そして職人不足問題も避けては通れない。取り巻く環境は厳しいなか、ウナギのPRについてはどう考えていくべきだろうか。

「職人さん不足も大きな課題の一つですね。どの職業にも当てはまりますが、働く環境の改善によってある程度、対応出来るのではないでしょうか。職人さんは特にプライドが高く、仕事に誇りを持っている方が多いので、会社側の方針をきちんと伝え、仕事のやりやすい環境を作りあげる事で職人だけでなく、その他の社員、アルバイトを長期にわたって採用出来る事を昔から絶えず、心がけています。経営面については人件費を抑える事も大事ですが、目を外部に向けて、特に今はインバウンドに力を注いでうなぎ文化を多くの方に知っていただく努力をしています」

取り巻く環境が大きく変化する中、蒲焼店としてはどのようにこれからを進んでいくべきか。

「おそらく、ワシントン条約で弊社も含め、影響を受けるでしょう。並行して完全養殖の商業化も現実味を帯びてくると思いますが(早々希望)。今まで外部を中心に業界繁栄に努めてきましたが、今後は皆様で協力し合って何かを作り上げることも面白いですね。これからさらに大変な局面に直面すると思いますのでいろいろなヒントをシェアしていきたいです。最終的にはみんなでうなぎフェスin Tokyoをやりたいなんて思っていますけど・・・」

そのほか、ウナギ業界で働きかけている事は?

「今までいろいろと各地で業界のプレゼンをしてきました。主に<年一回食べる方に年二回食べてもらいたい>運動です。別に弊社でなくても良いので自分が好きな専門店でウナギを食べてくださいとお伝えしています。業界的に危機を感じる今日この頃、業界繁栄に共感していただける方、一緒に頑張っていきませんか。こんな私ですけどよろしくお願いします」

[データ]
「根ぎし 宮川」 
〒110-0003 東京都台東区根岸1-1-35
TEL:03-3842-4141

森正道 のコピー.JPG

















*「蒲焼店が考える“これから”」は現在、日本養殖新聞で連載中
nice!(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:ニュース
前の20件 | 次の20件 蒲焼店が考える“これから” ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。